花、食物などの臭いがわからない人生も味気ないものです。色々な原因でおこりますが、臭いの発現部質が空気中を飛んできて、鼻の中に入り、嗅裂という鼻腔の最上部分に達してはじめてにおいを感じとれるわけです。
鼻の中のどこでも感じるわけではありません。鼻の色々の病気で鼻がつまって、臭いのもとがそこへ届かなかったら、臭いがわからないわけです。また、臭いのもとがそこへ達しても、それを感じる神経が機能低下している場合、手におえません。どのような原因でにおわないのかをつきとめ、適切な治療が必要です。そのためには、鼻の中を観察できる耳鼻科での受診が必要です。
鼻の中にも癌ができます。一側性の鼻症状(鼻づまり、膿性鼻汁、鼻出血など)がつづく場合は要注意です。また、鼻の奥のほうの違和感などがつづく場合は、一度耳鼻科の診察を受けることが大切です。そう大掛かりな検査ではありません。直接みえる部分が多いので、早期診断がつくことと思います。早期診断、早期治療が大切です。
日本では、スギ花粉症が国民病のひとつとされています。くしゃみ、鼻水、鼻づまり、鼻出血、鼻のムズムズ、目のかゆみなどが主な症状ですが、スギ花粉症すなわちアレルギー性鼻炎ではありません。アレルギーとは、何かの原因物質によってひきおこされる、体にとって不利な過剰な反応をする状態をいいます。
ですから、実にさまざまなものが、原因(アレルゲン)となりえるのです。代表としてハウスダスト、ダニ、花粉類としては春先のスギ、ヒノキ、初夏のカモガヤなどのイネ科の植物、秋のブタクサ、ヨモギ、カナムグラなど、また、種々の真菌(アスペルギルス、カンジダ、ペニシジウム、アルテルナリアなど)、動物の毛、ソバなどの食品など多岐にわたっています。アレルギー性鼻炎と同じような症状があるものに血管運動性鼻炎、風邪の初期、副鼻腔炎などがありますが、これらを区別して各々に適した治療法が必要なわけです。
まず、アレルギー性鼻炎の診断をして、それから、次に何が原因物質(アレルゲン)なのかを調べてゆくわけです。その方法としてRASTとか皮内反応があります。治療としては、回避できるアレルゲンであれば、それを避ける対策を立てるわけです。回避不可能ないし、むずかしいアレルゲンであれば、それが年中通して症状を起こすものであれば、アレルゲンを少量から少しずつ増量して、注射をしてゆき免疫力を強化し、アレルゲンを吸い込んでも反応をしにくいようにする。
つまり体質改善をする抜本的な方法があります。長い時間はかかりますが、根本的な方法として、通年性アレルギー(ハウスダストなど)の方には良い治療だと思います。
これを減感作療法といいます。抜本的な唯一の治療法で、最初は週2回のペースで増量し、数ヶ月後からは、月1回のペースですので思ったよりは、負担にならないと思います。つまり年中症状がある方は、それを取り除くためには、年中薬をのんだりしなければならないわけですが、これを一生続けることを考えれば価値はあると思います。
花粉類がアレルゲンとなっている方は、各々の花粉の飛ぶ時に症状が出るので、花粉の飛ぶ時期に処置をしたり、薬の投与をするわけです。しかし症状をおさえるだけの対処療法にすぎませんので、治療をやめたりしますと再び症状があらわれたりします。最近は、花粉の飛びはじめる2週間位前から薬を服用し、アレルギー症状が出にくくするような季節前投与という考えもあり、かなり有効です。これも正確な診断のもとでいつごろから服用しはじめるのか、耳鼻科医の指導に従って下さい。また、抗ヒスタミン剤というアレルギーの薬は、人によっては眠気をおこすこともあり、運転をされる方は特に気を付けて、医師の指導、注意をよく守って下さい。
急性副鼻腔炎は、一般にはいわゆる風邪(急性上気道炎)に伴っておきてくる、鼻、副鼻腔の炎症です。
風邪は空気の通る道(気道)すなわち鼻、のど、気管、肺の病原体による炎症です。
その一部として鼻、副鼻腔におこるわけです。症状としては鼻づまり、鼻汁、鼻がのどのほうへ流れる、頭痛、においがわからないなどです。副鼻腔は、鼻と大変狭い通路でつながっており、炎症のため粘膜が腫れて、この場所(中鼻道)をふさいでしまうため、副鼻腔が閉ざされた空間となり膿、粘液が貯って悪循環をおこします。
この通路が狭くなっているのを、直接的に処置するのがもっとも有効で、この通路(中鼻道)を開放して、自然に膿、粘液がたまらないように送り出すはたらきを助けてやることが、もっとも理屈に合った治療法です。適切な治療が出来なくて、また、放置しておいて慢性化したのが、慢性副鼻腔炎です。いわゆる蓄膿症とよばれているものです。急性期をすぎていますので痛み、発熱はありませんが、慢性的に続く鼻づまり、頭重感、鼻汁、のどへ鼻汁が流れこむなどの症状で、長くつづくと鼻汁がのどを通って気管、肺へ一部流入し、これらの炎症もひきおこし、慢性の痰、咳がつづく副鼻腔気管支症候群というとてもやっかいな病気になる可能性があります。成人では、これらの症状を患者さんがわかっているのに、放置しているのが殆どですが、幼少児でああだこうだということは稀なので、風邪の治療をきちんとすることが肝心かと思います。
蓄膿はなかなか治らないといわれていますが、粘膜の変化も慢性化しているわけですから、簡単にはいきませんが根気よく治療して下さい。学校検診などで指摘されましたら、早めの治療が必要です。治療ですが、耳鼻科的専門処置である鼻汁を吸引し、副鼻腔・鼻腔の粘膜の腫れをとり、本来の鼻腔の状態にして空気の流れを作ってやり、治癒に導く局所の治療と鼻汁の性質により抗菌剤を使い別けたり、消炎剤を使い別けます。
また近年、マクロライド少量長期療法という治療法が、かなり良い成績を出していますので、以前よりは手術療法は、行われなくなってきています。
しかし鼻腔が鼻茸(ポリープ)で充満しているような強い病変では、やはり手術療法は必要と思います。だらだらと治療するのではなく、耳鼻科専門医の適切な判断で手術をされたほうが、良い結果が出て、快適な日常を過ごせると思います。今日では、鼻の中から内視鏡での手術も普及し、以前のような痛み、ストレスは少なくなっています。
いわゆる鼻血です。あらゆる年齢の方が出血する可能性があります。最もよくみられるのは、鼻中隔(左右の鼻の穴の間の壁)の前方部分に、毛細血管の多い場所(キーゼルバッハ部位)のただれがあり、そこの血管が破れて出血しているケースがよくみられます。
特に小児においては、アレルギー性鼻炎、風邪などの際に多く、その治療と止血処置が必要です。また血液疾患が隠れている場合もあり、全身検査が必要なこともあります。青年期、特に男性であれば、鼻の奥のほうに血管性線維腫という腫瘍も注意が必要で、鼻咽腔の精密検査が必要です。高齢期になりますと、高血圧、動脈硬化、糖尿病などを伴うことも多く、血管そのものにも問題がおきていることがあり、止血処置のみでなく内科的なコントロールも必要とすることがあります。
また、鼻・副鼻腔の悪性腫瘍からの出血も見逃せません。様々な原因で出血するため、隠れた疾患、原因となる疾患に対処する必要があります。
[止血のワンポイント]
出血した場合、おちついて(血圧が上がらないように)、座って(横になると頭部がうっ血して出血しやすい)、鼻の中にティッシュなど入れずに、小鼻をしっかりつまんだまま5~10分位そのままにしておいて下さい。
この間、鼻から前へ出た血液はティッシュでふきとり、のどのほうへ流れてくる血液は、のみこまずに口から出して下さい(のみこむとムカムカして嘔吐することがあります)。大体これで止血すると思います。
いったん出血したら、血管壁がやぶれていますので、それが修復をされるのに約1週間はかかりますので、その間鼻の中をさわらないようにして、出血させないようにして下さい。
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