疾患について

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疾患について(耳)

[外耳炎]

主に外耳道(耳の穴)に炎症がおきて、かゆみ、痛み、耳漏が出ることがあります。入浴、水泳のあとなどに耳を綿棒などでさわることによっておこることが多いです。
原因も細菌、真菌、アレルギーなどさまざまで、処置及び使用薬剤が異なりますので、耳鼻科医の診断によって、適切な治療が必要です。必要以上の耳そうじはしない方がよいでしょう。

[急性中耳炎]

主として小学生以下の子供さんに、鼻水に引き続き起こることがほとんどです。
特に小学生低学年以下の子供さんでは、風邪をひいた子供さんの5~10%が、耳に何らかの合併症をおこしているという報告もあります。耳痛、耳漏、発熱などではじまりますが、意思表現が十分できない幼児であれば、機嫌が悪い、寝つきがが悪いとか、耳をさわる、熱が下がらないなどは要注意のサインです。
小児科受診も、耳もチェックできる医師を選べれば良いでしょう。細菌、ウイルスが鼻の奥と中耳をつなぐ耳管を通って、中耳へ入り炎症をおこし、発熱、耳痛、そして最終的には耳漏が出ます。直ちに鼓膜切開が必要な時もあれば、1~2日経過をみて処置の判断をするケースもあります。
原因となっている鼻、のどの処置が必要で鼻汁の吸引、ネブライザー療法、また、全身的に抗菌剤、消炎剤等が投与されます。投薬された通りきちんと内服をして下さい。完治にはかかせないことです。また中耳炎を風邪のたびにくり返すという子供さんも多いので、一度中耳炎を起こされた子供さんは、風邪→中耳炎に、気をつけて下さい。中耳炎は耳管の形が成人の形に完成すると、発生頻度が減ってきます。その時期まではきちんと治療をして、難聴をおこす滲出性中耳炎、慢性中耳炎、癒着性中耳炎などにならないように注意し、忙しくても、子供さんのために時間を割いてあげましょう。
子供さんによっては鼻アレルギーの治療、扁桃腺、アデノイドの手術や、免疫ブロブリンの投与によって反復する中耳炎を予防するようなことも、必要となる場合もあります。充分説明をしてくれる耳鼻科医を探すことも重要と思います。

[滲出性中耳炎]

鼓膜が本来の位置より内側へ凹み、さらに中耳腔に液体(滲出液)がたまって、鼓膜が動きにくくなるため、軽度から中等度の難聴がおこる状態です。
これも小学生低学年以下の子供さんが多く、中耳炎の後や鼻をすするとおこり易いようです。ちょうど、高い山に登ったり、飛行機が降下するときのような、耳がツーンとしたような感じの状態です。痛みはなく、耳がふさがった感じがおこります。
年少児ですので、これらの症状を訴えることは稀で、気付かれずに経過して、健康診断などで指摘されたり、返事がにぶいとか、きき返すとかで、学校や幼稚園の先生に指摘されることがよくあるようです。この時期の子供は、言葉をおぼえたり、正しい発音をしたり、学校などで基礎学力のつく時期ですので、この点にも留意され、しっかりと治療して下さい。
検査、治療ですが、患者さん各々によって発病の原因が多少異なりますので、専門医で診療を受け、鼓膜の状態、聴力、耳管の通り具合など、耳そのものの検査はもちろんですが、耳管の通り具合に障害を来たしている原因、たとえば鼻の病気(アレルギー性鼻炎・副鼻腔炎など)の有無、アデノイド、扁桃肥大の検査なども必要な時もあります。これらを的確に把握して治療をすすめるわけですが、たいていは鼻、のどの処置、ネブライザー、耳管通気(鼻の奥から耳管へ空気を送る)などの耳鼻科専門処置、及び全身的な鼻、のど、耳の薬等の服用が必要となると思われます。
これで改善が思わしくない場合、鼓膜切開をして滲出液を吸引したり、それでも再び鼓膜が陥凹してくるようであれば、チュービングといって鼓膜に穴をあけてシリコン製のチューブを入れ、常時、中耳を換気して中耳の繊毛運動を活発にして治癒をうながすものです。
鼻、のどの悪い条件を、処置や服薬で可能な限り取り除いても治癒にいたらない場合、アデノイド、扁桃の手術も必要となります。経過の長い場合も多いので根気強く、その時、その時の状態を主冶医よりよく説明を受けて、治療を続けて下さい。必ず治ると思います。

[慢性中耳炎]

急性中耳炎や、外傷にひきつづきおこることが多いようです。耳漏、鼓膜に穴が開く(鼓膜穿孔)、難聴などが症状です。
急性中耳炎では、痛み、発熱を伴いますが、慢性中耳炎では鼓膜に穿孔があり、炎症に伴う耳漏がみられ、難聴、耳鳴、頭重感がおきます。病原菌を調べ、耳漏停止のための処置を行い、抗菌剤を投与します。
おちついた時点で長期的な展望に立って、聴力、耳漏対策として手術的療法を考えます。ただし、手術療法はそれぞれの症例で選択、検討される必要があります。
また、特殊なタイプとして真珠腫性中耳炎、癒着性中耳炎などでは手術が治療の前提となります。慢性中耳炎の合併症として、内耳炎(難聴、めまい)、顔面神経麻痺、髄膜炎、静脈血栓症など重篤なものがありますので、専門医での充分な管理、治療が必要です。

[突発性難聴]

ある時から急におこる難聴で耳鳴、めまいを伴うこともあります。
治療法については統一的な見解が出てきております。突発性難聴がおこったときの第1のポイントは、難聴がおきたら出来るだけ早期に耳鼻科医を受診し、正確な診断をし、治療を開始することが必要です。
時期を逃すと治るものも治らなくなり、後に難聴、耳鳴を残すことになります。仕事を休んでも治療する必要がある病気です。診断治療は、鼓膜に異常なく純音聴力検査では、さまざまな程度の感音難聴を示し、中耳機能は正常です。
広く専門医の間では認知されており、ステロイド(副腎皮質ホルモン)、血管拡張剤、ビタミン剤、神経機能賦活剤が投与されます。また、高気圧酸素療法、星状神経節ブロック等が使われることがあります。難聴の程度によって、治療法が選択されますが、外来、入院加療に選別されます。また、大きな音をきかないように注意することが必要です。
また、後述する聴神経腫瘍の初期症状としても出てくることもあり、確認のためCT、MRIによるチェックも必要です。

[めまい]

平衡神経系は内耳、脊髄、目からの様々な情報を中枢で調整し、体のバランスをとっているのですが、これらの具合が悪くなると(腫瘍・出血・水腫・外傷・血流障害など)体のバランスが悪くなり、いわゆるめまいを生じてくるわけです。
めまいが起こると何科を受診するべきか迷われると思いますが、このように単一の臓器だけをみていては、全体像が理解できないわけで、平衡神経系を専門にしている我々でさえも、はっきり診断ができない場合もあります。
ましてや、患者さんがめまいを訴えてきたから、よくわからないけど片手間でめまいをみているという程度の医師に受診してもメニエルといい、注射、投薬をしているだけ、つまりどこの部位がどのように悪いかとはっきり診断できず、平衡神経系の検査もろくにせず、何かわからないけど、メニエルと言って根拠なく注射、投薬をしているのが現実です。
例えば頭痛という症状があれば、セデス、バファリン等の鎮痛剤を投与するのみで、その原因が何であるのか、脳腫瘍なのか、緑内障なのか、脳炎なのか、風邪なのかとかいった原因には全くふみこんでいないわけで、抜本的解決にはつながらないわけです。すべての他の疾患でもいえることです。ただし現在の医学では癌、エイズ等すべてを根本的問題解決できないことは、皆様に理解して頂きたいと思います。これからの医学の進歩を待たざるをえません。話を元に戻しますが、安易にメニエルなどという医者は信用できません。
メニエルと言う以上、内耳の疾患ですから、右耳か左耳なのかそれ位は診断できないと言うべきではないと思います。自分は専門でないから、症状を軽くする薬を出すけれど、もしかして重要な病気がかくれているかも知れないのできちんと診断してもらうようにと、平衡神経の専門家を紹介するような医師なら信用でき、かかりつけ医にすべき医師と思います。

[メニエル病]

この病気も突然におこる回転性めまい、耳鳴、難聴を来たす病気です。
内耳に原因がある病気です。内耳には蝸牛(かたつむりのような形)と前庭、三半規管があり、聞こえと体のバランスをとっております。ここに内リンパ管というものがあり、これが水ぶくれをおこして発症するとされています。
めまい、耳鳴、難聴、悪心、嘔吐がおこりますが、意識障害、運動麻痺、知覚麻痺はおこりません。めまい、発作時は安静が一番です。診断、治療ですが、まず強いめまいを抗めまい剤で少し軽くして、少し動けるようになって受診されたほうがよいでしょう。
鼓膜は正常で聴力検査では、病側の低音型感音難聴、耳鳴があることが多いようです。また、聴神経以外の症状すなわち、手足の運動麻痺、知覚麻痺、言語障害、意識障害などがないことを確かめます。
めまいの検査ですが、特別の器械でなくてもかなりのめまいの定性が判断できます。また、めまい時の眼球の異常な動きを、特別なめがねで観察したり、電気的に調べたり、水を耳へ入れたり、動くものをみつめたりする検査で、内耳障害に特長的な眼球の動きを確認し、病側(右・左)を決め治療を始めます。内リンパ管の水ぶくれですので、利尿剤、ステロイド、血管拡張剤、ビタミン剤、抗めまい剤等が用いられます。
少し落ちついて中枢神経系の異常の有無を調べるため、CT、MRIで確認することが必要となることもあります。いったんめまいは改善して治療が終了しても、数ヶ月ないし数年後に再びメニエル病発作がおこる可能性があります。次回発作時はあわてないようにしましょう。

[良性発作性頭位めまい]

これもメニエル病と同様、内耳の病気で前庭、三半規管には、体の位置、運動を知るための耳石という小さな砂粒のようなものがあり、これが色々な原因でずれ落ちて、頭、体の位置をかえると三半規管の中をゴロゴロころがって、めまいをおこすものです。
頭の位置の変化によって数秒ないし数十秒めまいがおこり落ちつきますが、動くとまた同様のめまいがおこります。難聴、耳鳴はなく専門医が眼球の異常な動きを、観察することにより、右か左かの病側とか、三半規管のどれが問題を起こしているかを診断し、体の位置を変えて、耳石を処置する耳石置換法という治療が、最近注目されています。

[老人性難聴]

高齢化社会に突入していますが、体のすべての器官の機能は年々老化してゆきます。
目、足、腰をはじめ耳にも老化は進みます。若者も年ごとに、ごく少しづつですが、難聴が進んでいるのです。
45~50才を境に年ごとの変化が増大していくと報告されています。これは原則として左右同程度の難聴です。テレビの音を大きくする、時々聞き取りにくい、耳鳴などという症状ではじまります。
急に日常生活で困るということにはなりませんので、なかなか耳鼻科を受診する機会がないようですが、周囲の人々はコミュニケーションをとるため、かなりの努力をしているということを、患者さんはもっと自覚すべきと思います。
周囲の方の努力が余りに大きくなると(大声で言わなければ通じない)、次第に話しかけないようになり、情報から隔離され、孤立することになります。また、夜、大きな音でテレビを鳴らすことも近所迷惑となります。
聴力改善する治療はないわけです。つまり補聴器などの補助具の助けを借りるわけです。補聴器は、原理的には耳に入る音を大きくするだけですので、どんな種類の難聴にも有効というわけではありません。高度難聴の方の場合、補聴器から音は入るがはっきり言葉を聴き取りにくい、雑音が入りすぎるとかいうように、適合が難しく、充分に期待に応えられないことがあります。ですから、本当に補聴器が有効なのは、鼓膜、中耳の問題できこえにくい方が、最も良いということです。しかし軽度・中等度難聴の方は、聞こえにくいと気付いてない方も多く、老化は認めたくない気持ちもわかりますが、歳には勝てません。
軽度・中等度難聴の方は、補聴器の装用によって、自分では聞こええると思っていたのに、こんなに多くの音があるのかと、また、はっきり聞き取れるようになると思います。老眼鏡と同じです。これらの方は適合も容易で、ビジネス、社会生活に多いに役立つと思います。50才をすぎたら一度、耳鼻科で自分の聴力を確認し、仕事の内容、家庭生活に合わせて使うことをおすすめします。耳鼻科医でしっかりと検査をし、聴力障害の型をしらべ、性能面、タイプ面で、また操作面でも各人にあった補聴器(眼鏡も各個人にあったものが必要なのと同じです)を決定し、入手します。
しかし、すぐにベストの状態で使えるものではありませんので、使用しながら細かく調整し、装用の訓練をして自分に、役立つようなものにしてはじめて有効といえます。患者さん、補聴器店、耳鼻科医の協力が不可欠です。平成17年から補聴器は管理医療器具となりましたので、耳鼻科医の診断・指示で、認定補聴器専門店の認定補聴器技能者によって補聴器の選択装用が義務づけられていますので、補聴器相談医にご相談ください。私も補聴器相談医になっています。最近は、デジタル化が進んで、クリアーな音質になっています。

[音響外傷・騒音性難聴]

音響外傷は、巨大音、爆発音が耳の近くで発生し通常より大きな力が内耳に加わって急におこる、難聴、耳鳴です。
発症に気付いたら大きな音をきかないようにして(イヤホーン、ヘッドホンはしない)、耳鼻科を受診し、診断をして治療をします。
早いほど良いと思います。また、治療中は耳の遮音も重要です。早く治療を開始することが大切ですので、医師の指示にきちんと従って下さい。
騒音性難聴は、恒常的に騒音下の職場などで常に大きな音の力が、内耳に加わって徐々に進行する難聴で、治ることはありません。だからこそ予防が重要となります。職場の検診で聴力検査がありますが、ひとつは会話音域の代表としての1000Hz、もうひとつがこの騒音性難聴をチェックするための4000Hzの検査です。日常会話は困らなくても、程度をチェックし経過をみる必要がありますので、耳鼻科を受診して下さい。
聴力検査によって4000Hzのみか、2000Hz、8000Hzまで障害を受けて受けているかどうかを調べ、騒音が入りにくいよう耳栓などの防音器具を使います。

[顔面神経麻痺]

文字通り顔の筋肉が動かなくなる状態です。
ふつう、片側の麻痺が起こります。目がしっかりつぶれない、口から水がもれる、笑った顔がおかしい、額にしわがよらない、口がまっすぐ突き出せないなどの症状が出てきます。これは単なる状態なので、顔面神経のどの部位が、どのような原因でトラブルをおこしているかをさがすことが重要です。
耳鼻科医は各種検査を系統的に行い、どのような治療が必要か、ケースごとに決めてゆきます。
原因としては、原因の確定しにくいベル麻痺、ウィルスが原因のハント症候群、慢性中耳炎が原因の麻痺、外傷などによる頭蓋底骨折、聴神経腫瘍などがあります。